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卵の緒 (新潮文庫 せ 12-2)

瀬尾 まいこ
おすすめ度:★★★★★
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一読の価値あり
おすすめ度 ★★★★☆

表題作「卵の緒」について。
「僕は捨て子だ。」で始まる冒頭にいきなり惹きつけられます。大きな事件は起きないのですが、日常の小さな出来事の描写で「僕」や「母さん」の人物像が鮮明になっていくのはさすが。ちょっと風変わりで快活な「母さん」は特に魅力的です。

血は繋がらなくても確かな家族の絆が存在するという大きなテーマは明確に伝わるのですが、「僕」が捨て子なのかどうかという肝心のエピソードが非現実的すぎて、ここだけ少々残念に思いました。もう少し自然な設定がなかったものか…。これがデビュー作ということで、大目に見ましょう(笑)

それはさておき、全体としては一読の価値ありです。



血の繋がらない家族の絆
おすすめ度 ★★★★☆

どちらの話もおもしろかったが、特に七生と七子の7's bloodがおもしろかった。七子の父親が浮気してできた七生が突然七子の家に転がり込むのだが、七子は子供らしくない要領がいい七生に苛々して心を開けないでいる。そんな二人が誕生日プレゼントの腐ったケーキをきっかけに仲良くなり、かけがえのない家族となっていくのだが、七子を中心に描くそれらのやり取りがとても繊細に描かれていた。特に最後にお互いの髪を切りあうのは感動的だった。二人がここで家族として一緒に過ごしていたという想い出を記憶に刻みこんでおくためだと思うが、よくこんなことを考え付くものだと思う。



素直に
おすすめ度 ★★★★★

七子と七生。
話が進むに連れて、二人から紡ぎ出されるストーリーからは確かな絆を感じられて。
本当に温かく、そしてせつなくて、愛おしくて。
共感できるとかいう類のものではなく、そう感情移入しちゃってたんだろうなと。
最後の1Pの結末も読む前に七子がそうするんだろうなって、唐突にわかったのはそのせいだと思いますね。
予測とかではなく、そうする姿が見えたというか。

こんな感覚に襲われた作品は今までなかったです。
ただ今はこの本に出会えてよかったなと素直に思いますね。




血を超えた温かさに包まれて・・・
おすすめ度 ★★★★★

なんて優しい物語なんだろう。

「家族」って、
世間一般に思われているような血のつながりが重要なのではない。
どれほどの愛情で包んであげられるか・・・。
それが絆を深めるのだな、としみじみ感じました。

2つの物語、どちらの母親も素晴らしい。
特に「7`s blood」で母親がなぜ七生を引き取ったのか・・・
それに七子が気づいたとき、
大きなあたたかさに包まれて胸がいっぱいになりました。

どちらの物語でも「食」の場面が多い。
食という角度から絆や団欒を描くのはよくあることなんだけど、
たまらない温もりを感じます(^_^)


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