とあるプールで知り合った美女と結婚をしたいという身勝手から、それまで同棲してた女をアパートから無理矢理追い出してしまう。試合に勝ち進むにつれ華やかなスター生活が始まり大金も入り豪邸を手に入れる。しかし良い時代は永遠に続かない。妻と実弟が肉体関係があったことを知り激怒。妻と実弟に暴力をふるい、そして実弟と完全に縁を切ってしまう。彼はトレーナーであった弟がいなくなるや弱体化し、ある黒人選手との試合に悲惨な負け方で引退。
引退後の肥満になった彼は純金を売るためにチャンピオンベルトをハンマーで叩き恐し、それを店に売りにいく浅ましい姿は実に視てて悲しくなる。あげくの果てには妻に見捨てられ離婚、そして逮捕され汚い独房に入れられる。最後には哀れな事に小さなクラブのしがないコメディアンに身を落とす。・・・まさに人生の栄華必衰。
白黒映像の美しさおすすめ度
★★★★★
レーザーディスクの時代に買って1度見て、それ以来通して見直した事のない映画です。でも何度もディスクはデッキに挿入してるんですよ。
心のどこかに引っかかっていてふと見たくなってまたディスクを挿入するんだけれど、あまりにも内容が人間の欲望と言うか姿がありのままに描かれていて、飛ばし飛ばしでしか見れなかった、僕にとってはそんな映画です。
しかし、今回初のスクイーズ収録。これは買うしかないだろうと購入しました。
白黒映像のなんと美しい事か。
その美しさに、久々に通して見てしまいました。
やはり、ある意味傑作だと思います。
特典映像も、本人の試合のシーンと映画でのシーンを比べたり、本人のインタビューがあったり、監督が喋り捲るメイキングがあったり、計算しつくされた試合シーンの撮影話があったりとかなり面白いです。
買って損はないと思いますよ。
dts vs 音声解説おすすめ度
★★★★☆
このアルティメット・エディション(以下UE)も例によって「究極」というのはちょっと……という仕様ですね。
US版にないDTS音声が収録されているのがプラスですが、
US版にある3つの音声解説のうち2つを削除しているのがマイナスです。
DTSのために音声解説は1トラックしか収録できなくなったのか、とも思いましたが、US版の仕様をよく見るとそうでもないようです。というのは、5.1と2.0の英語音声に加え、モノラルとはいえフランス語、スペイン語吹替まで収録されているからです(合計7トラック)。この中の3トラックは日本版では収録されておらず、日本語吹替の追加もないのですから(合計3トラック)、音声解説2トラック分のディスク容量がないとはちょっと考えにくいのです。DTSはそんなに極端に容量を必要とするものなのでしょうか?
価格差も大きいので結局私はDTSよりも音声解説を取ってUS版を買いました。
スコセージの代表作
おすすめ度 ★★★★☆
最近米「TIME」誌でも全映画史100選に選ばれた、マーティン・スコセージ監督の最高傑作とされる作品。
ジャック・ラ・モッタの自伝をもとにした、強靭な肉体と脆弱な精神をあわせもつオトコの実話を映画化する手法は、最新作「アビエーター」でも見せた、スコセージの得意とする分野。
たしかにいきなり一気に見るものを物語へとひきこむ息詰まるオープニングから、聖書の言葉で終えるラストまで、目を離す隙のない展開。
また、繰り返しはめ込まれたカトリック・イコンと、それに根ざす強い善悪のコントラストも見逃してはならない。
しかし80年のこの時期にあえて作家主義を標榜し白黒にこだわり、一方で挿入されるファミリー・ムービーを着色とする作風は賛否わかれるところ。
賞賛されて当然の映画ではあるが、100年後にも同じ賞賛と評価を維持しているのかに、更に興味を抱く。
概要
ロバート・デ・ニーロとマーティン・スコセッシ監督の強力コンビが、ボクシングをとおして描いた骨太の人間ドラマ。
サウス・ブロンクスのスラム街からはいだして、49年から51年まで世界ミドル級チャンピオンとして君臨したジェイク・ラモッタの栄光と、いやらしいまでの疑心がもたらすその後の虚栄の半生を、光と影を鮮烈に反映させたモノクロ映像でとらえていく。
デ・ニーロはこの作品のために、医者の指示を仰ぎながら体重を30キロ増減させるという驚異的熱演を示し、アカデミー賞主演男優賞を受賞(ほか編集賞も受賞)。
またボクシングの試合シーンも、本当に殴り合い血と汗が飛び散っていくところをスローモーションでとらえることで、人間のもつ暴力性や悲劇性が見事に描き出されている一方、舞うがごとく闘う人間の美を痛感させてくれる傑作。(的田也寸志)