ちょっと贔屓目ですが好きな作品ですのでこの評価にしました。「逃亡者」もそうでしたが、この手の作品は追う方がカッコよくなってしまうようですね。原田芳雄は最高です。「こんな野郎、百発撃ち込んだって...」なんていう台詞は彼じゃないと似合わないでしょう。勝気な牧場主の娘、中野良子もキャラクターが生かされてます。クライマックスの新宿西口での競走馬暴走シーンは野次馬が集り過ぎて大変なロケになり、警察が西口では今後は絶対ロケをさせないと言ったほどだったとか。「追捕」のタイトルで中国中で大ヒットして、中国人が一番見た日本映画。チャン・イーモーが影響を受けて自作に健さんを出演させたということでも有名ですね。当時も一部で話題になった、あの楽しい音楽は「白いサスペンス」という曲ですが、意識的に対比を狙ったもの。「第三の男」の線を狙ってるようです。そういうふうに見るともっと楽しめます。
細部にもこだわって欲しかったおすすめ度
★★★☆☆
出演者も健さん筆頭に重厚な役者揃いだし、原作もおもしろいのに、映画として大事な、特撮(自衛隊機とのスクランブルやセスナ着水など)や特にひどいのは音楽(逃避行の時に決まって流される、ハワイアン風のBGM)にもっとこだわって欲しかったです。そうすれば、もっともっと名作の誉れ高い作品になったでしょうに・・・
何度も言って申し訳ないが、音楽はその場面だけ見るとまるで、旅番組の様でがっくりです。その部分がおもしろくて、逆に何度も見てますけど、正直。
ザッツ 娯楽作品
おすすめ度 ★★★☆☆
「新幹線大爆破」とか「皇帝のいない八月」とか、この頃の日本映画は冒険エンターテイメント色の強い楽しい作品が多かったですね。またこういう映画を作って欲しいなあ。この作品、凄く楽しめるんだけど音楽が酷いですね。特に緊張感漲るべきシーンでのピクニック風ののんきなBMはなんとも雰囲気ぶち壊しと思います。音楽監督は巨匠なのになぁ・・・これでかなりマイナス。
概要
上映時間2時間30分の長編。西村寿行の原作を、佐藤純弥監督が大作として映像化した。突如無実の罪を着せられた検事が汚名を晴らすため日本中を逃走。その後、謀略の全貌を明かし、悪の首謀者を追いつめる。
前半は脱出と逃走のつるべ打ち。検事・杜岡(高倉健)は、さながら『逃亡者』のハリソン・フォードのように逃げる、逃げる。そしてジェラード警部よろしく非情なまでに彼を追いつめるのが矢村警部(原田芳雄)。北海道で出会った牧場の娘(中野良子)とのラブロマンスを経て、再び都内に舞台を移しての追跡劇が始まるが、警察上層部の姿勢に疑問を抱いた矢村が、徐々に杜岡へ感情移入していく様子がおもしろい。一転して後半は、精神病院を舞台にした医療サスペンスと化す。杜岡は自分を罠にはめた黒幕をつきとめ、矢村と共に復讐をなしとげる。劇画タッチで大味な作品だが、作り手たちの過剰なまでのサービス精神と心意気は爽快にして痛快。(斉藤守彦)