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封印作品の闇―キャンディ・キャンディからオバQまで (だいわ文庫 F 66-2)

安藤 健二
おすすめ度:★★★★★
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姿勢に感銘!
おすすめ度 ★★★★★

封印された理由をめぐって様々な憶測が流れていた、
オバQ、キャンディキャンディ、サンダーマスク…といった名作について、
豊富な資料と関係者への直接取材で真相に切り込んでいく。

読み始めると、引き込まれて半日で一気に読んでしまった。
それぐらいおもしろい。
内容のおもしろさ(期待にちゃんと応えているという意味で)もさることながら、
強く感じるのは、
執念とも言える取材姿勢、
そして
封印されてしまった作品への愛情 だ。
ここまでやられたら、書かれた方も認めざる得ないんじゃないかと思う。

文庫本だけのために、
より深くオバQ封印の真相に迫った章を用意したあたりにも、
この作者の真摯な姿勢が現れていると思う。

本当のことは当事者にしかわからないものだけれど、
丹念な取材で、これが“真相”だと信じるに十分な結論を導いている。

古本屋に売らず、永久保存すること決定!



大人たちの利権問題により闇に葬られた“子どもたちのヒーロー”
おすすめ度 ★★★★★

・ 「お母さんが二人とも赤ちゃんの手を放さなかったんです。その結果、キャンディは引き裂かれて、この世から消えてしまいました」――第一章『キャンディ・キャンディ』
・ 「そっとしておいてほしいというのが私の思いです。だから、幻で終わっていただいてよろしいかと思います」――第二章『サンダーマスク』
・ 「これを黒人だということで出版社が自主回収したとしたら、明らかにひどすぎますよ。」――第三章『ジャングル黒べえ』
・ 「知らされないほうがいいんじゃないですか?そんなことしたら、藤子プロも藤子スタジオも傷つくでしょ。当事者がいるのに、人を傷つけてまで本を出す必要があるんですか?」――第四章『オバケのQ太郎』

 前回大好評であった『封印作品の謎』に続く第二弾であるが、前回以上に取材の壁が立ち塞がり難航する様子が伺える。今回は『キャンディ・キャンディ』『サンダーマスク』『ジャングル黒べえ』『オバケのQ太郎』の封印の背景に迫る戦慄のドキュメントである。前回が封印理由の背景に差別表現に対する抗議が原因に対し、今回は著者同士や関係プロダクション、著者の親族の利権問題により今現在も絶版の原因となっている真相が少し明るみとなる。

 特に『ジャングル黒べえ』の絶版に纏わる背景に現在から20年前に突如湧き起こった黒人差別の問題が原因とされ、私自身も当時新聞で大きく取り上げられていたのを知り、それが原因と信じていたが今回本書を読んで真実が別にあった事を知り驚愕した次第である。
 さらに『オバケのQ太郎』絶版に追い込んだ黒人差別問題の背景に実は黒人差別とは何も関係のない日本人一家3人が自らの売名行為のためにこの問題に加担して世論をあおった事実を知り、深い憤りを感じた。

 最後に少年時代に数々の夢を与えてくれた名作が大人の利権問題等により歴史の闇に完全に葬られたことが残念でならない。



単行本を持ってても文庫もぜひ!
おすすめ度 ★★★★★

単行本を以前買った方もこの文庫に追加された「オバQ封印のその後」の
ために買わざるを得ません。
そこには封印の真相「らしきもの」、そして
コンビ解消の真相をもチラッと匂わせています。

それにしてもここで取り上げている数々の名作が封印されている
諸事情には「チッ」と舌打ちしたくなることばかり。
「これじゃあ封印されても仕方ないなぁ」というのが一つもない。

そしてなによりこのライターさんの取材パワーともいうべきものはスゴイの一言。
想像や引用では結論づけずにとにかく言質を取るために
インタビュー、取材、インタビュー、取材・・・・
マニアには常識と言われてることにも切り込んでいく。
他の分野のライターにも見習ってほしいです。
この著者は将来、ものすごいのを書く気がする。
次作が楽しみです。



大きな利益
おすすめ度 ★★★★★

著者が取材を続ける中で「封印された作品を追ったって何の得もない」と言われるという場面が出てくる。世間から消えたとされる作品のことを書いても、著者にも、版元にも、関係者にも、読者にだって利益がないだろうと。
しかし読後、私は決してそう思わないと感じた。
特に「オバQ」「ジャングル黒べえ」には昔から思い入れがある。私は幸運にもすべて所有しているが、だからこそ、こういう面白いマンガが普通に書店に並んでいて当然、人々が気軽に読めて当然なのに、それができないという現状にずっと不満を抱いていた。
こんな状況にあえて一石を投じ続けてくれている著者に心からお礼をいいたい。こうしたルポこそが著作者、版元、読者にとって最終的な大きな「得」になっていくと信じる。



藤子漫画よ永遠なれ
おすすめ度 ★★★★★

以前に発刊された単行本を文庫化したものですが、本書の目玉はやはり
追加補記された「第五章 浮遊霊の行方」に尽きます。
ついに明確に明かされる「オバQ」封印の真実。
これまで無責任に氾濫していた噂にようやくピリオドが打たれた感、大です。
あまりにも不合理で無常な結末ではありましたが、その理由を知り、
多くの藤子漫画マニアは妙な安堵感を覚えたのも本当ではないでしょうか。

オバQ問題はお二人の絆の亀裂によるものではないか・・・と明示されることが
私はとても怖くてたまりませんでした。「それだけは聞きたくない!」という
切なる願いは私だけではなかったはず。
F先生とA先生の友情が最期まで変わることなく永遠だったこと。
それを明確に示してくれた本書に感謝の辞を述べたい気持でいっぱいです。


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