トム・クランシーの名作を質の高い映像で映画化おすすめ度
★★★★☆
ロシア大統領が死亡し,次期大統領は筋金入りの強行派と目される男が就任・・・そんな折,米に核攻撃が!!激昂した米大統領はロシアの仕業と思い反撃準備を開始。全面核戦争の危機が迫る!・・・そんな中,真相に気付いたCIAのライアンは世界を救うために奮闘する!
言わずとしれたテクノスリラーの第一人者トム・クランシーの傑作小説の映画化です。「フィールド・オブ・ドリームズ」で知られるF・A・ロビンソン監督が一転してハードな映画に挑戦。
見終わって最初に思ったことは「惜しいなあ」でした。個々の場面の映像クオリティはなかなかでしたが,話の流れにいまいちリズム感がなく,ただ事実関係を追うだけになってしまっている感がある。配役もそれなりに決まってましたが(アフレックのイアンはイマイチでしたが),イマイチ個性を発揮仕切れていない。ジェリー・ゴールドスミスの音楽も素晴らしいのですが,使いどころが(最初と最後は良かったけど)・・・原因は,クランシーの緻密かつ膨大な長編小説を2時間に押し込んでしまったからではないかと思います。プラス30分~1時間あればかなり凄い作品になったんじゃないか・・・と思うと惜しい!と思ってしまいます。
また,アフレック=ライアンとしたことで,ライアンの性格や設定が原作とは少しかけ離れてしまったことは,原作ファンとしては残念でした(正直,ベン・アフレックってどこが良いのか良く分からない・・・)。
とはいえ,クランシー原作の映画化としては「レッド・オクトーバーを追え!」に次ぐ良作かと思います。
あらすじの設定と核爆弾爆発画面に不自然さが目立つ
おすすめ度 ★★★☆☆
トム・クランシーの描くジャック・ライアンもハリソン・フォード、アレック・ボールドウィンに続いて本作品で三人目となったが、シリーズを継続して見ていると突然若いベン・アフレックとなったのには違和感がある。ジャック・ライアンは士官学校でヘリコプター事故にあって重傷を負い、奇跡的に歩けるようになったが背中の痛みに終始悩まされ、また結婚して子供もいるという設定であったはずだが、ここでは独身で元気一杯である。それはそれとして、核兵器テロの黒幕であるネオナチ集団が核大国である米国とロシアの間で核戦争をさせようとする陰謀を企んでいるという設定やスーパーボールで爆発した小型核爆弾が放射線被害すらもたらさない通常爆弾のような設定には見ていても無理がある。今までのジャック・ライアンシリーズでは、あらすじの面白さと登場人物の個性の描き方から言っても「レッド・オクトーバーを追え」の方がはるかに優れている。