緊張感が最後まで!おすすめ度
★★★☆☆
トム・クランシーの小説、ジャック・ライアンシリーズの映画化第四段です。第一作目はショーン・コネリー、二作目と三作目はハリ・ソンフォードがそれぞれ主人公であるジャックラ・ライアンを演じていますが、本作では前の二人よりもずいぶん若いベン・アフレックがライアン役を好演しています。
ストーリーは、テロリストによって巧妙にしかけられた核爆弾がアメリカ国内で爆発、それを機にアメリカとロシアの両大国が核戦争に向けて突き進んでいく中で、CIA職員であるライアンがそれを阻止するため奔走するというものです。
内容的には比較的ありがちな感じがするのですが、9・11の後ということもあって、テロリストの存在に対する緊張感が非常にリアルです。また、爆撃の際に映し出される映像も、普通の戦争映画のときに用いられる地上にいる人間の視点から見た火薬の爆発映像ではなく、湾岸戦争やイラク戦争のときに我々がテレビで見ていたような航空機から撮影した白黒の無音の映像なので、なおのことリアリティーがあります。
しかし敢えて言えば、テロや航空機からの爆撃などのリアリティーに比べて、核爆弾が爆発したときの様子が何となくショボかったのですが、その点は核爆弾に対してアメリカン人が持っているイメージと日本人が持っているイメージの差なのでしょう。
映画が始まってから終わるまでの2時間、緊張感は常に持続!アクション映画やホラー映画とは一味違う社会派の緊張感をぜひ味わってみてください!!
個々の政治的立場、心理がよく描かれているおすすめ度
★★★★☆
一介のCIA職員が小さな変化に気づき、しがらみにとらわれない“目”で真実を見抜き、それをどうにかして上層部に伝えたいと懸命に突き進む、手に汗握る映画でした。いかにも悪人顔のロシア大統領(シアラン・ハインズ)の政治的立場と個人的な思い、ライアンに期待を抱きながらもアメリカの誤解が解けねば攻撃も辞さないという微妙な心理もよく描かれていて、最後の最後には「恐怖の連鎖」を断ち切るためにライアンが出したカードを受け入れるというのも緊迫感あふれていてとてもよかったです。
クランシーの小説は「合衆国崩壊」しか読んでいないのでジャック・ライアンの設定が違うのどうのというのはわかりませんが、若く気鋭の、しかし駆け出しっぽいCIA職員で、もちろん結婚前という設定は決して悪くないです。実のところ、「トータルフィアーズ」がジャック・ライアンの映画とは知らずに予告を見て、ライアンのイメージにぴったりのベン・アフレックに興味をもって映画を見にいったらジャック・ライアンの映画だったという顛末で、その意味では彼ははまり役とも思えます。いま風アレンジでしょうか、工作員のクラークがライアンの最新通信機器を見て「俺も欲しい」と何度も言うのも結構おかしかったです。
ただ、映画中、核爆弾が爆発して放射能の塵の降る中を装備もなしに平気で歩いてたりしていたことにはかなりびっくりしました。大丈夫でしょうかね…。
核の描き方はひどいが....おすすめ度
★★★☆☆
核を落とした国(アメリカ)と落とされた国(日本)の認識がこれほど違うとは驚いた。だが核兵器使用の順序が細かく再現されていてリアルだった、実際
とは違うだろうけど緊張感があった。
空母が攻撃されるシーンは戦争映画並に興奮した、さすが軍事物
が得意なトム・クランシーだ。映像の裏ではジェリーゴールドスミスの
壮大なスコアが演奏されていたがそれもすばらしかった。
恐らくこれがなければ星ひとつ以下と評価していただろう(笑)
被爆国の国民が見るにはちょっと問題があるかもしれないが、それを
気にせず見れる人なら楽しめると思う。
よくぞコンパクトにまとめたと感心
おすすめ度 ★★★★☆
見終えた後まず思ったのは小気味よいテンポと進め方だ!と。核ボタンに関する調査はもちろんしたのだろうけれど、おそらく映画の中で相手国への攻撃を巡る承認プロセスはかなり古いものと推測される。大統領を筆頭に重要なシーンであればあるほどコメディーさを残した演技が逆に緻密な計算の上で緊張と緩和をバランスよく組み合わせたものであると印象づけた。とは言っても、歴史に触れるような場面は様々な方面への考慮はきちんとされていた。このコメディー描写によるバランスが全体の話の展開を小気味よく進めて映画として十分楽しめる内容へと仕上げた。しかし、主人公のキャラを印象付けるための補足的シーンが幾つか見られたのが残念だった。最後の場面には心が爽やかになるシーンがあり、ほどよい緊迫感から解放された心地よい気分が心をおおった。
概要
1973年の第3次中東戦争で、1発の核ミサイルが紛失した。そして2001年、アメリカとロシアの間でまたも国際緊張の事態が発生。しかしCIAの若手アナリスト、ジャック・ライアン(ベン・アフレック)はそれらの原因が何者かに仕組まれているとにらみ、調査を続ける。しかし、ついにアメリカに1発の核ミサイルが落とされ、世界は一気に第3次世界大戦の危機へ!
トム・クランシー原作「ジャック・ライアン」シリーズの映画化第4弾。監督がソマリアなどのドキュメンタリーを撮ったフィル・アルデン・ロビンソンなだけに、世界の危機がアメリカをひいきすることなく、すこぶる公平によく描けている。核の描写が甘いのは欠点だが、本作の趣旨は核の恐怖ではなく、国際緊張の恐怖にこそあると見るべきだろう。キャストを若返らせてリニューアルしたことも成功。ジェリー・ゴールドスミスの音楽も、これぞ映画音楽の鑑とでもいうべき優れた成果を収めている。NYテロ事件後ようやく登場した秀作。(的田也寸志)