からゆきさん〜おすすめ度
★★★★★
学生時代、山崎朋子氏のサンダカン八番娼館(サンダカンへの道)を読み、熊井啓氏がメガホンを取った本作を観に行きました。天草にくらすオサキを演じた田中絹代さんの演技に感動したことを思い出します。若き日のオサキを演じる高橋洋子、水の江滝子、田中健氏らが脇も固まられさすが熊井啓氏と思いました。ボルネオ島、今のカリマンタン島ですが、2度ほど訪れました。あの頃のこの島は、もっと悲惨であったと感じ入りました。忍ぶ川、海は見えていた、銀座の恋の物語、霧笛が俺を呼んでいる、海と毒薬、ひかりごけすべてが良い作品です。5月23日、くも膜下出血のため永眠、76歳。合掌。
日本女優として最高の芝居
おすすめ度 ★★★★★
すばらしい映画です。
長く辛い人生を送ってきたおさきさんの悲しみや喜びを演じる田中絹代さんの演技が胸を打つ。
これほど胸を打つ芝居はめったにお目にかかれない。
この映画はキネマ旬報の1位になりましたが、今ではすっかり忘れられた映画となっています。
ぜひ多くの人に見て欲しいと思います。
概要
ボルネオの港町サンダカンを訪れ、かつて“からゆきさん”と呼ばれた日本人娼婦たちの墓などを探す女性史研究家・圭子(栗原小巻)は、かつて九州で出会った元からゆきさんのおさき(田中絹代)から聞いた話の数々を思いかえしていく。戦前、若き日のおさき(高橋洋子)はサンダカンに娼婦として売られてきて、そこで苛酷な半生を過ごしたのだった…。
山崎朋子のノンフィクション・ルポを原作に、名匠・熊井啓監督が描いた社会派女性映画の大傑作。ひとりの女がたどった、まさに想像を絶する地獄の体験を映像はあますところなく捉え続け、観る者に怒りと悲しみを込めて告発していく。伊福部昭の重厚な音楽も、歴史と女の悲劇を見事に奏であげている。ラストに至っては、いつ観直してもショッキングで鳥肌が立つ思いだ。また、それらを裏打ちする名女優・田中絹代の存在感は、まさに映画が与えたもうた文化的財産といっても過言ではない。同年度キネマ旬報ベスト・テン第1位および監督・女優(田中)賞受賞。田中は海外でもベルリン国際映画祭女優演技賞を受賞している。(的田也寸志)