WOWOWののノースクランブル枠で放送され、しばらくたってから口コミでファンの間に爆発的に広がった作品だ。放映当時1話だけ観て放り投げてあったのだが、今回通して視て驚いた。これだからアニメは最後まで見ないとわからない。よくある先生と生徒の恋愛ものと見られがちだが、実はまったく違う、人生の意味すら問い掛けてくる骨太の作品なのである。
この作品を特に素晴らしいものにしているのは、井上喜久子の演技と美しい美術だ。井上喜久子の演技は以前から注目していたが、キャラクターの陰影を見事に演じ分ける繊細な演技力が作品に強い吸引力を与えている。また背景美術は実在の町を取材したそうだが、初夏のむせるような、稲の匂いすら漂ってきそうな美しい日本の田舎の風景が見る者に強い既視!感(デジャヴュ)を起こさせるのだ。誰もが経験する、しかし実際には決して経験できない理想の高校生活がそこにある。作画の破綻も少なく、最後まで高い質を維持している本作品はアニメ史に残る名作となった。強くお勧めする。
願望充足型アニメおすすめ度
★★★★★
ま、いうなればハーレクインロマンスですな、これは。
テーマ性はまったくありません。
ありそうに見せてはいますが,それも単なる小道具のひとつです。
重い重いテーマの作品で疲れた方のための休息のための作品です。あくまで休息であって、決して「癒し」ではありません。
「こればっかりじゃどうしようもありません」が、たまにはいいのではと思います。
別段新味のない要素を組み合わせてうまく纏めてあり、職人芸という所でしょうか。
永遠の夏休みのような時間感覚、清浄な空気を感じさせてくれる空間構成、軽い喪失感で郷愁をそそるような心理描写、など客受けするツボを抑えたうまい脚本演出です。
DVD特典の最終話はちょっと悪乗りしすぎのきらいはありますが・・・
それを描かなかったから良かったのにと思うのは私だけでしょうか?