『シロ』を演じた蒼井優が特に素晴らしいおすすめ度
★★★★★
映画は2006年リリース。大友克洋の『童夢』に多大な影響を受けている松本大洋がオリジナルだ。
監督のマイケル・アリアスがもの凄く頑張っていて非常にすばらしい出来映えだった。非常に絵が上手い。そして最後の方のコンピュータ・グラフイックの使い方が実に素晴らしかった。
そしてもう一つ。『シロ』を演じた蒼井優が実に素晴らしかった。正直蒼井優がここまで素晴らしい演技をすると思わなかった。女優根性を久しぶりに日本人女優で感じた。彼女は見た目の存在以上の女優になるな、と思った。
何しろ日本映画の最近のヒット作は『デス・ノート』はじめほとんどがマンガ出の作品だ。裏返せば日本のマンガの持つイマジネーションは傑出している、ということなのだろう。
殆ど★5つ。原作の世界観をほぼ忠実に再現。おすすめ度
★★★★☆
原作のファンにとって、意外性や驚きはない。かといって失望もない、原作のイメージにほぼ忠実。画的にはずば抜けて素晴らしい!特に、からくり時計からクロが登場するシーンは圧巻!ただ、『イタチ』のシーンはもうひと味欲しかったかな?あとシロと沢田の関係も、もう少し深く掘り下げて欲しかったな。蒼井優って天才かどうかはわからないけど、盲目の少女を演っても今回の『シロ』にしても、役作りが上手いネェ!………観て損なし!
クロとシロ
おすすめ度 ★★★★☆
人間の内に潜む「クロ」と「シロ」、表裏一体の両者にそれぞれのキャラクターを持たせた設定だろうが、個人的にはある意味単純とも言えるストーリーよりも、あまりに荒廃的な町並みや影を背負った人物像が非常に魅力的で、迫力を感じた。
「鉄筋コンクリートの間違いじゃない?」などというツッコミ(残念ながら実際にあったので)は決してないように・・・
概要
宝町で暮らす親を知らない少年クロとシロ。町で“ネコ”と呼ばれるふたりは、かつあげやかっぱらいで暮らしていた。その町で“子供の城”の建設話が持ち上がる。しかし、それは古めかしい宝町を近代化して支配しようとするヤクザの仕業。昔気質のヤクザのネズミは反対するが、彼のボスは謎の男“蛇”にこの計画を一任していた。残酷な蛇はクロとシロを邪魔者だと判断し、刺客をおくる。ケンカでは誰にも負けない凶暴なクロだったが、刺客の前では手も足も出ない。そして追いつめられたシロは刺されてしまう…。
松本大洋原作漫画のアニメ映画化。熱狂的なファンを持つ松本作品だが、この映画はその世界観を想像を超えるほど見事に映像化している。昔懐かしい匂いと迷宮のような不気味さを兼ね備えた宝町の鮮やかな映像、クロ、シロはじめボイスキャストの名演(クロは二宮和也、シロは蒼井優)、原作漫画への深い愛がスクリーンのすみずみまで溢れ、宝町の世界に見るものを自然に飛ばせてくれる。子どもが生きにくい世の中にしてしまった大人たちへ痛烈なパンチをあびせる傑作だ。日本アニメは宮崎駿ワールドが頂点かと思いきや、まったく違ったアプローチと映像世界を持った作品が、その座をおびやかすほどの勢いで登場したことがうれしい。とはいえ監督は米国人のマイケル・アリアス。米国と日本で活躍する映像クリエイターだが、デビュー作とは思えない見事な手腕に脱帽だ。(斎藤 香)