序盤のコロラトゥーラだけ聴いた時は上手いのかとも思ったんだけど、このヒロインの歌い方は全体的にグニャグニャしすぎ。実力はありそうなんだけど・・センスなんですかねぇ?
やはり素晴らしかった ラストの薔薇は象徴的でしたおすすめ度
★★★★★
劇団四季の舞台に感動し、サラ・ブライトマンの歌声に魅了された者ですので、映画版を見る前に一抹の不安を持っていたのも事実ですが、冒頭のセピア色のオペラ座が時代を遡る時に美しい姿で浮かび上がる演出は映画ならではで、いきなり惹き込まれました。オペラ座の地下や墓場のシーンは映画化によってより印象的になりましたし、劇中劇やマスカレードのシーンも絢爛豪華さが増したように感じました。
クリスティーヌ役のエミー・ロッサムに好感を持ちました。撮影時は17歳だったのですね。可憐な歌唱はクリスティーヌのイメージにピッタリです。軽やかなコロラチューロ・ソプラノですし、聴く者に癒しを与える声質の持ち主です。劇団四季の木村花代さんの歌声や、サラ・ブライトマンの名歌唱と比べもしましたが、持ち味が違いどれもお気に入りです。歌われる有名なナンバーは見事で素晴らしく、このミュージカル映画に没頭できた最大の要因です。
ファントム役のジェラルド・バトラーは、演技力も抜群で、哀愁を漂わせる表情は観客の心をつかむオーラを感じました。歌唱力については聞き劣りしますが、ファントムのナンバーって難しいものですから、歌詞を演技の中に取り入れ、感情移入した歌唱は全く違和感なく聴けました。バトラーは、この難しい役をステキに演じきったと思いました。
ラウル役の美形のパトリック・ウィルソンによる歌唱は安心して聴くことができました。損な役回りですが、しっかりとした歌唱力のため、ラスト近くで聴くことのできるファントムとクリスティーヌとラウルによる三重唱は素晴らしい出来映えだったと思います。
全編を通じてアンドリュー・ロイド=ウェバーの才能の素晴らしさにただただ聞き惚れてしまいます。映画化によって、その音楽の細部まで繰り返し鑑賞できたこともあり、ミュージカル映画の真髄である音楽の構成美も再確認できました。
食わず嫌い
おすすめ度 ★★★★☆
ミュージカルもミュージカル映画もどちらかと言えば敬遠するカテゴリーだったが、何気なく見たこの映画は素晴らしかった。
吹き合え無しのファントムとクリスティーヌの歌唱力は映画を通してでも充分に聴き応えのある。ファントム(怪人)のクリスティーヌへの歪んだ愛の表現が描かれているが、ストーリーは深く考えずに映像や音楽で楽しむ映画という印象だった。
概要
1870年パリのオペラ座で、プリマドンナが事故に巻き込まれ役を降板。新人のバレエダンサーのクリスティーヌが大役を得て、舞台を成功に導く。しかし、その姿をじっと見つめる仮面の男がいた。幼なじみの男性ラウルと再会して喜ぶ彼女を、仮面の男は地下深く連れ去る。
作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーの傑作ミュージカル『オペラ座の怪人』は、日本でも劇団四季が大ヒットさせたので知っている人も多いだろう。この舞台をジョエル・シュマッカー監督が映画化。ウェバーの音楽を最大限にいかすために、ドラマはミュージカル構成。よってネームバリューよりも歌唱力のある役者が集められ、怪人にジェラルド・バトラー、クリスティーヌにエイミー・ロッサム、ラウルにパトリック・ウィルソンが抜擢され、吹き替えなしで見事に演じ、歌いあげている。オペラ座の美術、衣装、めくるめく映像など、贅の限りをつくしたようなまぶしさで、ヴィジュアルがこの悲劇を盛り上げるのに一役買っているといっても過言ではないだろう。(斎藤 香)