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戦場にかける橋

デビッド・リーン
おすすめ度:★★★★★
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個性的な戦争映画ではあります。
おすすめ度 ★★★★☆

『旅情』、『アラビアのロレンス』、『ドクトル・ジバゴ』、『ライアンの娘』などイギリス人の彼にとっては異郷の地を題材に力作を生み出し続けたデヴィッド・リーン監督屈指の名作と称えられているのが本編です。このたびの異郷の地は第二次世界大戦下のタイであり、そこで同郷のイギリス人と同胞のアメリカ人と敵国である日本の将校が火花を散らしあう物語です。

クワイ河マーチの口笛よろしく物語りは森林の奥地で展開しますが、リーン監督の持ち味である壮大さを伴う異国情緒がジャングル舞台では出切っていないのが残念です。つまりこのジャングルはどこのジャングルでもよいわけであり、タイである必要はないので、タイらしい雰囲気が出ていないのがリーン監督作品としては少し残念です。

持ち味の異国情緒の欠落と同様に、登場人物も意外と一貫性を持った緻密さに則って描けていないように思えました。アレック・ギネス扮する英国人将校がなぜ嬉々として日本軍の橋を作ろうとするのか理解できませんし、早川雪舟扮する日本人将校の人物造形も少し曖昧です。ウィリアム・ホールデンのアメリカ兵はお調子者でありながらなぜかヒーローと化し、ジャック・ホーキンスのいつもの骨太のキャラクター作りもまったく粗末に扱われています。このようにして正直、印象深い登場人物が見出せないのでした。また登場人物同士の人間としての心の触れ合いがまったくといって描けていなく、ドラマティックな抑揚に完全に欠け、人間同士がぶつかり合う場所でもある戦場とはいうものの、まったくドライな印象を受けてしまいます。まあ、それが戦争のもう一つの側面、つまり“冷たさ”であるということなのでしょう。

このような負の部分を踏まえつつも、本編の全体に漂うドラマとしての品格や印象深い映像はさすがリーン監督ならではのものであり、戦争の狂気を極めてユニークな場所設定とストーリーラインで表現したことで記憶に残る個性的な戦争映画ではあります。後年の傑作、『アラビアのロレンス』の前ぶれとも呼べるフィルムなのでしょう。



喜んでは見たくない
おすすめ度 ★★★☆☆

 太平洋戦争下のビルマ、日本軍は鉄道を通すために、英軍の捕虜に橋をつくらせる。捕虜部隊の隊長は、立派な橋をつくるのは英軍の誇りであると、部下を督励してついに完成させる。一方でセイロン島の英軍ではその橋を爆破する計画をたてていた。
 隊長のアレック・ギネスは、苦心の末につくった橋を、最後には自分で爆破させる結果になる。この逆説が戦争の狂気を強調している。このテーマは重い。しかし、このことと映画の完成度がどうであるかは別の問題。ウィリアム・ホールデンのロマンスは余分。ジャングルを突破する場面はお手軽で、格調高い作品とはおもえない。
 それにしても、無用の軍刀をさげた日本軍の大佐、ピリッとしない日本兵の態度、遅れた機械力は情けないほどで、日本人のわたしとしてはあまり見たくない作品である。



共感しきり・・よく出来ているからか
おすすめ度 ★★★★☆

士官と兵隊の区別をしないのは、日本流。
士官は使う側、兵は使われる側というのが、英国流。
日本流はいってみれば、全員が「使われる側」なのだ。
だから誰も責任を感じないし、責任のとり様がない。
そういう文化の差によって、
アレックギネスは独房に捕らわれたのかと思うと
実に気の毒だ。

まあしかし、アレック・ギネスがそんなに立派な指揮官なら、
マレーの戦場でもっと戦ったらよかったのにと、僕も感じる。
マレー人やインド系の人や華僑がたいへんな目にあったわけだし。
この点早川雪舟演じる日本人のセリフに多少共感を覚える。

発音は日本風かもしれないが、
早川雪舟の英語はうまいなあ。
あんな軍人がいたらよかったのにと思う。

つばの広い帽子をかぶっているのは
オーストラリア軍かなあ。
オーストラリア人と英国人の仲は
あんなに円滑だったのかなあ。



戦争のむなしさ
おすすめ度 ★★★★★

デイビット・リーン監督作品。ウイリアムホールデンや早川雪舟が出演しています。第2次世界大戦下のビルマのクワイ河に軍事用の橋をかける話です。主題歌は有名なクワイ河のマーチで、口笛の音が効果的な良い曲です。日本軍の捕虜収容所が舞台です。日本の軍人が、英米軍等の捕虜に橋をかけさせます。英軍のニコルソン大佐は、軍人としての誇りや、自分たちの職務への誇りから英軍部下に立派な橋を建てさせます。軍人としての誇りより、人間として生き抜くことが大事という米軍軍人は収容所から脱走に成功し、橋の爆破作戦に成功します。爆破をめぐり、収容所長も、英軍指揮官も米軍軍人も皆死んでしまいます。あれだけ、汗水たらして、かけた立派な橋も結局落ちてしまします。戦争のむなしさ、おろかしさを象徴していました。クワイ河の橋をめぐり、人間性のぶつかりあう人間ドラマが展開されます。戦場という究極の状況で人間性むき出しのドラマで名画の名にふさわしい映画だと思います。さすがにアカデミー賞作品と納得しました。


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