ほっと一息おすすめ度
★★★☆☆
この本の評価は分かれるのではないかと思います。とても気に入ってバイブルのように持ち歩いたり本棚の一番の場所に飾ったりするひともいるでしょう。反対にさらさらっと見てすぐに手放してしまう人もいるでしょう。この本はおーなりさんの色体験を追体験する本なのです。ですからおーなりさんとおめめの感覚が似ている人ほどじーんとするのではないかと思われます。
でも。どっぷりおーなりさんの世界にはまれなくとも、癒し効果はあるはずです。
ほっと一息。
どこか静かな所で、小さな空でかまわないのでなるべく空の見えるところで、読んだらいいかな、と思う本です。お気に入りのお茶と、ぜひどうぞ。
こころの色 ことばの色 わたしの色・・・おすすめ度
★★★★★
おーなり由子さんの観察力と表現力には、いつも驚かされる。
たとえば「夏の庭」。
レースのように穴だらけになったシソの葉。
青虫は、葉っぱのソーセージみたい。体中が青い葉のミンチでいっぱい・・・
「さんぽの時間」では、
人間は、その時々の自分を抱えて、
バウムクーヘンみたいにぐるぐると輪を重ねて年をとっていく・・・
大日本インキの色見本帳が好きなところとか、
炭酸水を見るのは好きだけど飲むのは苦手、とか、
きれいな色で、生まれたてのようにおいしいそら豆や、えんどう豆が好きとか、
私との共通点をみつけては喜び、
「胸がぎゅっとして、泣きたくなる気持ちの秘密」
に共感して、せつなくなったりもした。
どんな色でもきれいだと思える、しみじみとしたエッセイだ。
きもちの色
おすすめ度 ★★★★★
中学生の頃、おーなり由子のコミックを好んで読んだ。小学生の頃は、叙情的でメルヘンティックなおーなり由子のマンガがよくわからなかった。この作品で初めておーなり由子のエッセイを読んだ。うれしかったのは「さんぽの時間」。ある季節に突然襲ってくる懐かしくて胸が締め付けられるような感じを、他の人も持っているのかどうかずっと知りたかったけれど、今までうまく言葉にできなかった。おーなり由子はそれをうまく言葉にしないまま表現していて、「わたし以外の人もあんな風になるんだぁ」とものすごく得心してしまった。言葉にできない感じを言葉にしないまま表現するなんて!好きな人にはうれしい一冊。できればおーなり由子のマンガを読んで気に入った人に読んでもらいたい。