映画とオリジナル・ブロードウェイの違い おすすめ度 ★★★★☆
映画の『ヘアスプレー』に感動したこともあり、オリジナルのブロードウェイ・キャストによるレコーディングされた『ヘアスプレー』はどうだろうと思い、これを聴いています。
全編歌と踊りが楽しめる素晴らしいミュージカルです。主人公のトレイシー役を演じ歌っているのはマリッサ・ジャレット・ウィノカーで、その天真爛漫な声は魅力的です。
冒頭の「グッド・モーニング・ボルチモア」(途中再び歌われますが)のはじけ方からずっとワクワクしながら最後まで堪能してきました。彼女の言葉「人と違うことは良いことなのよ」という言葉はこのミュージカルの精神を表わしています。
黒人差別、という1962年当時の人種差別がストーリーの根底にありますが、難しいメッセージも分かりやすく提示しているのがアメリカ・ミュージカルの良さでしょう。
マリー・ボンド・ディヴィスによる「アイ・ノウ・ホエア・アイヴ・ビーン」での歌の上手さと迫力には圧倒されます。60年代のブルースを感じさせる佳曲です。
33頁にわたる解説は親切な編集でした。ジョン・ウォーターズによるコメントの後、あらすじが書かれています。映画とオリジナルの舞台では少し展開が違う所もありましたが、それを知るのも丁寧な解説があるからです。
全曲の対訳とセリフの対訳とオリジナルの歌詞が掲載されていますので、CDでも十分ミュージカルの素晴らしさを堪能できますが、ミュージカルの場合はDVDを観たくなりますね。これは仕方がないことです。CDの限界もまた分かった上で、聞くべきでしょうから。1960年代というオールディーズの良さが積めこまれているミュージカルでした。
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