何気なく手にとって歌詞を読み、すべて日本語なのにまず驚き、その場で聴かせてもらって、即、買うことに決めた。特に気にいったのは「Eden」。まずヨーロッパの街並が目に浮かんだ。後で原作を読み、アンティークドールの「真紅」の視点だとわかったが、“邂逅は 嗚呼 いつか来る現実を胸に突きつけ 俄かに輝く”“覚醒から始まるは終わりへの遊戯”といった、人間の人生そのものに当てはまるあたりは実に見事だと思う。こういう歌詞を書ける人がいて、評価されているのは嬉しい限りだ。アニメ世代だけに聞かせておくのはもったいない。
かわいいCDおすすめ度
★★★★★
主に「空蝉ノ影」が私にこのCDを買わせました。他に類を見ない曲調で、強烈と言うか、普通じゃないです。
このアルバムの為の新曲は「Leer Lied」と「Eden」の2曲。表題曲「Leer Lied」はわずか1分足らずの短いが印象的な曲です。「Leer Lied」とはドイツ語で「空(から)の歌」という意味です。
「彼方からの鎮魂歌」「ピチカート日和」「みどりのゆび」「近くて遠いゆめ」は、「ローゼンメイデン・トロイメント キャラクタードラマ」CDシリーズに収録されている物と同一ではありません。ドラマVer.は3分ほどですが、数行歌詞が増えて4〜5分ほどのフルサイズになっています。この内「彼方からの鎮魂歌」「ピチカート日和」「みどりのゆび」は、歌詞の内容的に、登場人物が 1人増えたような感じで、満足度は期待以上でした。
発売日に店頭に並んでいた物は全てデジパック仕様(丈夫な紙製の台紙に、プラスチック製のトレイを接着したタイプのCDケース。初回限定版などによく使われる)で、「初回限定版」や「期間限定生産」の表示はありませんでした。思いきってアーティストではなく「ローゼンメイデン」を全面に押し出した装丁も、好感が持てます。CD全体が非常にかわいい存在となりました。
「Eden」だけでもおすすめ度
★★★★☆
ローゼン・メイデンのストーリーをなぞるすばらしいアルバムに仕上がった。
特に新曲「Eden」はワルツ調のバラードでしっとりと歌い上げる。特段、暗く悲しく歌っているわけではないが、争いを避けようとしつつも運命に翻弄されてしまう複雑な心境や無念さがにじむ詩と対比となって間接的に強調している。
ベストアルバムだけにそもそも目新しさを求めるのは難しいかもしれないが、新曲だけでも聴く価値がある。
「Eden」だけでもすばらしい出来栄えであるだけにベストアルバムとしてこぢんまりしてしまった感があるのは惜しい。マキシシングルでもよかったのではないか?もっと新曲を収録してオリジナル版でも良かったのでは?と思い、星4つとしたのはやや辛い評価かもしれない。
しかしこれからローゼン・メイデンを見る方にはキャラクタイメージをつかみやすくなる点でもオススメできる1枚だと思う。
新譜三曲含む、kukui提供ローゼンメイデン総決算的アルバム。
おすすめ度 ★★★★★
表題曲"Leer Lied(レーアリート)"、"Eden"は本アルバム初収録となる完全新作。シングルで登場しなかったオーベルテューレEDテーマ"空蝉ノ影"に加え、"透明フィルター"、"光の螺旋律"のB面"はちみつ"、"モノクロセカイ"、"現夢"まで収録されたファンならずともおすすめしたい作品になっています。
過去リリースされた作品は、物語と詩との見事な調和性をはじめ、美しいアニメーションと平行させて見れば、その演出と符号する箇所には思わず息を呑んでしまうほどまこと鮮やかなものでした。今回収録される"空蝉ノ影"はそのような点においても他作品に見劣りしない一品であったと思っていますが、この曲は他作品を仮に「癒し系」という風に据えるとすれば、少々色合いを違える作品になっています。
「問い掛けた 命の意味 空しくあの空に木霊して 響くだけ」
タイトルが象徴するように、実に儚く、物寂しい。しかしそれはただ哀切な言葉を単調に歌っているものでも、聴く者をただ悲壮な気持ちに駆り立てるの代物でも決してなく、一言一行に想いを込めて歌われているのをひしひしと感じるそれは、まるで歌声に優しく包み込まれるような包容力を帯びているように感じてしまうよう。これも転じて考えれば「癒し」なのかもしれません。