三船敏郎の頂点おすすめ度
★★★★★
寅のさくらへの想いから始まる本作は、知床の大自然も相まって、シリーズ最上の出来に仕上がった。竹下景子扮するりん子の可憐さは特筆ものだし、すまけいをはじめとする脇役陣のアンサンブルも観ていて楽しい。そして、何よりも三船敏郎の凄み。渥美清も本作では一歩引いていて、三船と淡路恵子の恋を助けるのだが、バーベキューでの告白シーンなどは三船敏郎しか出来ない迫力があった。山田洋次が三船と組んだのはこれ1本だが、山田はこれ以前にも三船で武蔵を撮る話があったが、流れており、本作でようやく実現した。豪快な三船も素晴らしいが、椿三十郎や本作のようなコミカルな味わいも最高である。スピルバーグは三船の逝去時に、これで威厳を持った俳優が消えた、と嘆いたが、まさにこの作品での演技は威厳に満ちていた。三船のベストアクトは紛れもなく本作であるし、日本映画全体でみても、桁外れの傑作である。
シリーズ最高作の一つ
おすすめ度 ★★★★★
この作品は、竹下景子が出演した三作の中の最高作であるばかりではなく、「男はつらいよ」シリーズの中でも最高傑作の一つではないかと思います。特に三船敏郎の頑固な老獣医と淡路恵子のスナックのママの恋物語、それを取り巻くすまけいの”船長”ら心優しい知床の人々がとても良かったです。一時、元気を無くしていた「男はつらいよ」シリーズもこの38作「知床慕情」以降、元気を取り戻した感じです。