あまりにバカバカしいのだけど...おすすめ度
★★★★★
パロディー物でこんなに楽しく読めたのは、東郷隆の「定吉七番」シリーズ以来です。本作を嚆矢とする「大久保町三部」、一部で偏った人気を博したそうですが、ホントに好き嫌いが分かれるところでしょう。その上で敢えて言いますが、田中哲弥は、ある意味で天才的センスの持ち主なのかも知れません。ただし、世間様から見れば、きっと才能を無駄に使っているように見えることでしょうね。
それにしても、四十もとおに過ぎていながら、こんなたわいないナンセンス小説の、しかも超ダメダメな主人公に感情移入してしまうなんて。自分がちょっと情けなく感じてしまった一冊です。
兵庫県明石市大久保町はガンマンの町である。
おすすめ度 ★★★★★
高校3年の夏休み、祖母の住む大久保町へ受験勉強の為にやって来た主人公。しかし、そこはガンマン達が跋扈する西部の町だった……
なぜ大久保町がガンマンの町なのかについての説明は一切なく、そんな異世界に紛れ込んでしまった普通の高校生が、あれよあれよという内に凄腕のガンマンだと勘違いされてしまう。そして遂には、町のならず者である村安一家と対決するはめになるのだが…、というストーリー。
いやー、面白かった。こういう笑える小説は久しぶりに読んだ。今から14年前の作品らしいが、全く気にならず一気に読めた。馬鹿馬鹿しいお笑い小説なので、人を選ぶかもしれないが、好きな人には堪らない作品だと思う。横田順弥のお笑い要素の強い短編とかが好きだったから、個人的にはど真ん中の作品だった。