評論文のからくりが解ってしまう本おすすめ度
★★★★★
私は理系人間であるが、子供の受験をきっかけに、自分があまり意識した
ことの無かった「国語力」と言うものが知りたくてこの本を買った。
なるほど評論文のからくりがわかる。この本の例文としてあがった著者の
本を乱読して見たが、ポストモダン思想と呼ばれるテキストが全て似たり
寄ったりに見えてくるから不思議だ。一度に何冊も読んだから食傷気味と
なった。
現代思想の潮流は、平たく言うと「相対的=絶対はない」とか「脱構築=
従来の考えに囚われるな」である。入試に出てくる評論文はこのキーワードに
沿った形で著者が気付いた身近な事例、たとえば身体とか女性を題材に
説明して見せているだけのようにも感じる。
これだけパターン化してくるのだから、著者が流行に敏感なのか、あるいは
知らず知らずして現代思想の枠の中にはまりこんでいるかどちらかであろう。
それにしても評論文のからくりが解ってしまうとは。この非常に薄くて、
そして平易な言葉で書かれた本たった一冊で!!
しかし、「だからどうする、身体を失いかけた若者はどうしたら救われる、
女性の社会的立場はどうすれば変えられる」について、評論文は何も教えては
くれない。恐らく自分で考えなさい、となる。
でも若者はその答えが欲しいのではないか。間違いを恐れず、読者に訴え
かけてくる文章を。待てよ、だから「評論」文と呼ぶのか。思考トレーニングの素材
としの価値しかないのか。これが入試で問われる「国語力」の実態か。トホホ。
話がそれたが、評論文にはこのように型がある。読み方はどれを取っても
変らないので、入試問題を解くには、この型に沿って読んでいけばよい、
と言うことになるのだろう。なるほど小説文より点数が取り易い訳だ。
但し、センター試験のような選択肢問題の場合には、設問に巧妙に仕掛けられた
罠をかいくぐる能力も要求される。
入試国語は、「現代思想トレンドに関する予備知識」と「論理的な思考で選択肢
の罠を見破る能力」が求められているというのが結論。
費用対効果が抜群の一冊。全ての受験生にお勧め。
現代文評論分野における、重要な基礎語の概念・定義・意味・用法などの速習にも○おすすめ度
★★★★☆
受験生に限らず社会人でも評論用語の理解は現代を読み解く上で重要である。
そこで、本書を熟読することにより、評論分野における重要基礎用語の背景まで比較的正確に理解できるので、
入試評論文読解や記述(表現)及び小論文対策における基礎体力の養成が可能。
さらに、習得度確認のための問題演習もでき効率的だ。
ただし、解説や説明を読み、理解する基礎的読解力や語彙力が必要なので、現代文がかなり苦手な方は、
有効に活用するのが難しいかも知れない。
自分にとって解りやすいかどうか検討の上選択してほしい。
最近の試験の特徴をとらえている
おすすめ度 ★★★★★
近代批判、論理性を扱った文章にはそれなりの重要語句も変わるはず。そうした言葉を対義語を交えながらわかりやすい短文で説明したりする。全部で4章、レベル別になっているので今から始める人でも気軽にできます。